知財業界待望のドラマ「それってパクリじゃないですか?」

 今月から日本テレビでドラマ「それってパクリじゃないですか?」の放送がスタートした。知財部を舞台として弁理士が活躍する知財業界待望のドラマだ。開発部から知的財産部に配属された主人公「亜季」役を芳根京子が、親会社から派遣された弁理士「北脇」役を重岡大毅が演じている(注1)

 一話完結型で、現実離れしたところが少なく面白い。主人公の亜季が新米知財部員の設定のため、専門用語には他の配役から丁寧な説明が入る。ドラマの詳細設定は公式サイトhttps://www.ntv.co.jp/sorepaku/)を参照いただくとして、第1話と第2話の放送について少しコメントしたい。録画をまだ観ていない方には、多少ネタバレが含まれるがご容赦いただきたい。

 知財専門家からみた第1話のテーマは、「冒認出願」(注2)である。本来なら意匠法か実用新案法の保護対象となる飲料容器(瓶)を、やや強引に特許対象として扱っているが、視聴者層には、その方が分かりやすく伝わると思う。機密管理の研修材料としても使えそうだ。特に、知財に無頓着な会社役員や営業マンへの注意喚起に有効と考える。

 第2話は、「パロディ」をメインテーマとしつつ、オチは「OEM」(委託者ブランド名製造)となっている。複数のテーマを上手くまとめている。しかも、知財専門家からみると、実際にあった紛争や判例を題材にしていることが分かる。特に、「レピュテーションリスク」(注3)について最後にさらりと出てくるが、時間を割いて背景を練り込んでいる点は秀逸である。

 いずれの回も一般の方に分かりやすい内容になっている。本日(426日)は第3話の放送日であり、予告をみると「侵害予防調査」がテーマのようだ。夜10時が待ち遠しい。

 

注1:本ブログでは芸能関係者の敬称は略しているが、敬意をもって記載している。

注2:冒認出願とは、特許などの出願をする権利のない者(発明者ではなくアイデアをパクった者など)が出願すること。

注3:レピュテーションリスクとは、ネガティブな印象を世間に与え、会社の評判やブランドが毀損するリスクのこと。このドラマの設定で例えると、正当な権利行使であっても、特定地域で愛されている零細企業を権利侵害で訴えると、世間には弱い者いじめと映り、権利者の評判が落ちるリスクがある。