あたらないカキ

 ホテルでのカキ料理提供には細心の注意が払われる。リゾートホテル、ビジネスホテル、シティホテルいずれにおいても食中毒が発生すれば大変なことになる。ホテルの場合、通常の飲食店とは異なり、営業停止になると飲食にとどまらず結婚式や宿泊など影響範囲は計り知れない。

 カキの毒は、カキ自体が体内で作りだしているものではなく、海水の有毒プランクトンを摂餌(せつじ)して体内に蓄積したものである。したがって、毒のない環境で養殖すれば安全である。ただ海域で養殖するかぎり、ウイルスや細菌による汚染を完全に避けることはできない。

 株式会社ゼネラル・オイスターは、カキを海で養殖するのではなく、陸上での養殖に成功し、それに関連する特許を保有している。私はこの会社に限らず知財・無形資産に着目して投資をしているが、これほど発明の効果(貝毒に関する高い安全性の確保)が分かりやすい特許はめずらしい。

 大株主との関係など同社を取り巻く昨今の経営環境を必ずしも十分に理解していないが、「あたらないカキ」を上手くアピールできるとよいのではないか。秘匿にすべき陸上養殖のノウハウと新規参入障壁となる特許を峻別して、公開できる知財については積極的に情報開示をすることで企業価値はもっと上がるはずである。