1年前に「知財情報でテンバガーを探せるか?」と題したコラムをアップした。そのとき発掘したお宝候補銘柄について現況を確認した。
下表に記載の銘柄は、弊所で開発したT値・PTR*に基づき、有望な特許を保有しているにもかかわらず株価が低いまま放置されていると判断した10銘柄で、2024年5月8日に自らこれら銘柄に投資し現在に至る。
お宝候補銘柄
出所:高野誠司特許事務所
T値は、弊所で開発した特許総合価値指標で2024年4月30日基準
PTRは、2024年4月末の時価総額(億円)をT値で割った値
騰落率は、2024年5月8日の約定株価から2025年5月16日の終値の変化率
この1年間で株価が上昇した銘柄は5つ、下落した銘柄も5つあり、10銘柄の株価は平均で14.2%上昇した。同一期間における日経平均株価は1.2%下落している。テンバガーに至る銘柄は今のところないが、10銘柄の平均株価は日経平均株価をアウトパフォームしている。
ところで、株価が2倍(ダブルバーガー)になることの対極としては半分(ハンバーガー)になることが、10倍(テンバガー)になることの対極としては1/10(逆テンバガー)になることが思い浮かぶが、感覚的な対極関係と実際の金銭的なインパクトは異なる。
例えば、10銘柄のうち、一つでもテンバガーになれば、残りが全て1/10になってもトータルでは「勝ち」である。仮に10銘柄各々に100万円(合計1000万円)投資して、うち1銘柄がテンバガーになり、残り9銘柄が1/10になったとして、合計1090万円になる。つまり、1勝9敗でもトータルで「勝ち」になる。それだけテンバガーの威力は強大なのだ。
以前のコラムで書いた通り、テンバガーに関する10倍達成までの期間について明確な定義はないが、5年以内の達成を目安とする意見があるようだ。いずれにしても、上表の10銘柄は、まだテンバガーになる可能性がある。引き続き、進捗を確認するとともに、新たなお宝候補銘柄を発掘し、いつの日かテンバガーになったことをコラムで報告したい。
知財投資家・弁理士 高野誠司
* T値は、高野誠司特許事務所で開発した特許総合価値指標。特許の関係者の労力に着眼した指標で、特許取得の労力(拒絶査定不服審判はポイントが高い等)、第三者が負う労力(情報提供、異議申立、無効審判の順でポイントが高くなる等)、共同出願相手との交渉労力(公的機関と共同出願はポイントが高い等)などを総合した指標。PTRは時価総額(億円)をT値で割った値。
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