知的財産推進計画2026からKPIの進捗状況を読み解く

 2026612日、知的財産戦略本部より、知的財産推進計画2026が発表された。副題として、「成長戦略を支える知財戦略の推進」が掲げられている。これまでの知財戦略や施策の方向性を整理し、達成すべき目標等についてフォローアップも行っている。

 前回の知的財産推進計画2025の大きな特徴として、重点施策ごとにKPIを定めた点が挙げられる(2025年6月の所長コラムを参照)。本コラムでは、1年前に定めた各施策のKPIの進捗状況について、知的財産推進計画2026でどのように記載されているか読み解いて確認してみたい。

知的財産推進計画KPIの運用状況出所:高野誠司特許事務所

 上表は、知的財産推進計画におけるKPIの運用状況を示したものである。2025年にKPIを定めた21施策のうち、進捗状況が具体的に記載されていたのは18件(86%)であった。また、2025年においてKPIを検討中としていた3施策のうち、具体的なKPIの開示があったのは2件であった。

 ところで、KPIは、PDCAサイクル(Plan-Do-Check-Act cycle)のCheckの場面で重要な役割を果たす。一度定めたらコロコロと変えてはいけない。継続して進捗状況を確認し、計画と差が生じていれば原因を究明し対策を練る。

 2025年の計画時に設定したKPI2026年に進捗状況を示しているKPIが一致しているか否かも確認した。一部前提としていた比較数値が修正されていたが、KPIそのものや目標数値が変更されている例はなかった。

 1年前に設定されたKPIの多くは進捗が確認されており、概ね正しく運用されている。下表に、具体的なKPIの内容と進捗状況を表示した。情報が多いため、3つに分けて表示している。別途PDF版(一枚もの)も用意したので、必要に応じて参照いただきたい。

知的財産推進計画KPIの進捗状況(1/3
出所:知的財産戦略本部 知的財産推進計画2025知的財産推進計画2026

知的財産推進計画KPIの進捗状況(2/3

出所:知的財産戦略本部 知的財産推進計画2025知的財産推進計画2026

 知的財産推進計画KPIの進捗状況(3/3

出所:知的財産戦略本部 知的財産推進計画2025知的財産推進計画2026

 知的財産推進計画においてKPIを定め、1年経過したところで、進捗状況を確認し開示した点は高く評価できる。今後も継続して運用・開示いただきたい。そして、さらに一歩踏み込み、各KPIに関する施策の推進主体を明確にするとなおよいと考える。

 KPIは、我が国の知財戦略や各種政策の進捗について国民が把握する上で重要な役割を果たす。KPIを策定し開示することは最初の一歩にすぎない。各KPIの責任者、すなわち関連する施策の推進主体を明確にし、進捗状況を継続的にモニタリングし、PDCAを適切に回すことが肝要であり、知的財産推進計画KPIは、我が国の成長戦略に資してこそ価値がある。

 

弁理士 高野誠司