多くの上場企業は3月末が決算日であり、2営業日前の3月29日(2023年の場合)に株主であれば配当がもらえる権利が得られる(もちろん、配当がない会社もある)。実際に配当が出るのは6月頃になるが、個別株を購入した場合、配当の権利を確保しておけば、その後株を売却しても配当は入ってくる。
3月は高配当株に人気が集まり株価が上昇する傾向にある。配当の権利を確保した後に売却する株主も少なくない。もちろん、株価はそういった配当狙いを織り込んだ推移となる。すなわち、配当の権利がリセットされる「権利落ち日」に配当相当額が下落するのが常である。
では、投資信託(ファンド)を介して投資している株の配当はどうなるのか? 投資信託などの金融商品の売買に関しては、購入後に売却すればその場で精算となるのが一般的である。換言すれば、売却後に配当が入ってくることはない。であれば、権利落ち日に多くの株価が下がるため、4月~5月にファンドを購入すれば得ではないか? 平たく言えば、投資信託にはバーゲンの時期が存在するのではないか疑問に思った。
ある金融機関に訪問した際、私のこの疑問を確認したところ、居合わせた複数の担当者に疑問内容を理解いただいたが、回答は持ち合わせていなかった。その後の回答では、「配当は未収金として計上されるため権利落ちの影響はなく、バーゲン時期といった、うまい考えはなさそうです。」とのことだった。つまり、権利落ち日に下落するはずの配当分を先取りして補填し、平準化される。実際の配当が出た際には、その都度、個別に差額分(予め未収金として算入した予想配当金と実際の配当金の差分)を調整するそうだ。
やはり、投資信託にバーゲン時期がある、といったおいしい話はない。