知財コンサルティング事例

知財コンサルティング事例

日本ユピカ株式会社様

 日本ユピカ株式会社様(以下「同社」)は、三菱ガス化学のグループ会社で、1977年設立の樹脂メーカーです。高野誠司特許事務所(以下「弊所」)は、20234月から同社の知財戦略策定などに関する支援・助言を行っています。

日本ユピカ本社受付前にて撮影

  

コンサルスキーム

 このプロジェクトは、知的財産および関連する活動を見直し、知財戦略を策定し、知財活動計画を定め、これらの実践を通じてブランド力を強化し、企業価値を高めることを目的としています。下図の流れで、1年間かけて同社社員と弊所コンサルタント(高野)が一緒に議論しながら進めていきます。

知財コンサルティング・スキーム

 

お客様の声

 プロジェクトが中間点を折り返したところで(2023921日に取材)、あらためて参加社員に、これまでの課題や依頼の経緯、今後の期待などについて聞いてみました。

Q1 これまでの課題について、あらためて教えてください。

A1 特許や商標の重要性は理解していても、事業戦略と知財活動が嚙み合っているとは言えませんでした。研究開発のスピードを重視するあまり特許出願は個人プレーになりがちで、商標も古くから使っているロゴが数多くあるなど、ブランディングに課題があることは感じていました。

Q2 弊所に依頼したきっかけを教えてください。

A2 「2022特許・情報フェア&コンファレンス」の案内をみたときに、特別フォーラムのパネリストであった高野さんの経歴が目にとまりました。開発や経営の経験がある弁理士ですので、様々な観点からの知財コンサルや助言が期待できると思いました。

Q3 弊所の提案内容をどのように思いましたか?(どのような期待がありましたか?)

A3 知財のコンサルは初めての試みだったため、内容よりもまずは始めることが重要だと思い、社内で声を掛け様々な部署から集まってもらいました。一方で、会社の合併(同社は三菱ガス化学グループの別の会社との合併が予定されています)を控えていることから、商標やロゴに関するコンサルティング・メニューを先送りする提案をいただいたのですが、会社のブランディングが喫緊の課題でしたので、今年度のコンサルティング・メニューに含めていただくようお願いしました。

Q4 プロジェクトが実際にスタートしてみて感じたことはありますか?

A4 回を重ねるごとに参加メンバも積極的になってきています。知財への関心や危機感が高まってきていることがわかります。高野さんからは保有特許の質がよい(業界のなかで特許1件あたりの被引用件数が多い)と褒められていますが、これまで多くの社員が、大発明しか特許出願できないと思っていました。プロジェクトを通じて、網羅的な観点での特許取得が重要と感じています。また、製品や事業をカバーするために、どのような商標を出願すべきかよくわかりました。

Q5 現時点の満足度はいかがですか?

A5 依頼して本当によかったと感じています。

Q6 弊所への不満はありますか?(直してほしい点はありますか?)

A6 高野さんから宿題や各種データ提供を求められますが、利用目的を最初から教えてほしいと思います。たとえば、製品毎の財務情報を提供しましたが、特許数と営業利益の関係性を製品別に分析された結果をみたときに、その目的だったら限界利益率を用いた方がよかったかも、といったことがありました(社内の諸事情でコストの付け替え調整されていることがあり提供した製品別営業利益が必ずしも実態とあっていないため)。

Q7 今後のプロジェクトに期待していることはありますか?

A7 プロジェクトのゴール(知財戦略によって取引先や家族などステークホルダーにすごい会社と思ってもらうこと)に近づけるとよいと思います。そして、宝石である知財の原石を発掘し磨きあげていきたいと思います。プロジェクトに参加している社員とそうでない社員との間に当事者意識の差が出そうなので、中間報告会(202310月予定)を多くの社員に聞いてもらいたいと考えています。まずは、役員・社員と知財の課題や、このプロジェクトのゴールを共有したいと思います。

 

 コンサルタント所感

 懇親会などで社員の方々と会話していると、みなさん向上心があり、会社のことが大好きで、会社を良くしようとされています。職位に関係なく意見を言い合える雰囲気があり、社内の風通しがよく、離職率が低いことが、同社の大きな強みと感じています。知財については、たしかに対応すべき課題が山積で、これまでに多くの指摘や助言をしていますが、逆に言えば、「伸びしろ」がたくさんあります。

 実は、依頼いただく以前に同社の特許情報を分析したとことがあり、良質な知財があることに着目して投資(株式購入)をしました。そのような事もあり、不思議なご縁を感じています。このプロジェクトによって、同社のブランドや企業価値が向上するよう引き続き頑張ります。

 

 ※日本ユピカは 2020年に三菱ガス化学からTOBがかかり、株価が大きく上昇した後、TOBが成立し、同社は三菱ガス化学グループの会社になりました。