知財情報を開示することによって株価がどう推移するか、情報開示する企業のみならず投資家も興味があるはずだ。
金融庁と東京証券取引所によって、上場企業が守るべき行動規範として企業統治指針(コーポレートガバナンス・コード、以下「CGC」)が取りまとめられている。
2021年6月にCGCが改訂され、知的財産に関する情報開示等の項目が補充原則に追記された。また、CGCを補足する「知財・無形資産の投資・活用戦略の開示及びガバナンスに関するガイドライン」(以下「ガイドライン」)が、2022年4月に公表され、2023年3月にバージョンアップされた(Ver2.0)。
上場企業にとっては、「CGCの各原則を遵守し、ガイドラインに沿って知財・無形資産に関する投資・戦略情報を開示すれば株価は上がるはず」と信じたいところである。
そこで、この仮説を検証するため、知財ガバナンス研究会 コンサル等分科会で実施された知財情報開示に関する調査結果※に基づき、情報開示の度合いと株価の推移の関係について分析を試み、その結果を「知財情報開示と株価の関係」にまとめた。
※ 2022年度調査:知財ガバナンス研究会 知財コンサル等分科会「東証プライム市場上場企業における知財・無形資産ガバナンスに関する対応状況調査・分析」 2023年3月24日、高野誠司が、内閣府知的財産戦略推進事務局・経済産業省経済産業政策局産業資金課共催の「知財投資・活用戦略の有効な開示及びガバナンスに関する検討会」にて説明。 2023年度調査:知財ガバナンス研究会 知財コンサル等分科会「知財・無形資産ガバナンス調査報告書」